瓦屋根の永遠のテーマ?!

瓦の寿命は半永久的です

一生メンテナンス要らないから瓦にした方がいいよ!

ひと昔ふた昔前の瓦の売り文句ですね

震災後は申すまでも無く、残念ながら雨漏りを起こしてしまったり、訪販業者により更に悪化させられてしまった方は「ウソばっかり!」「瓦はもう要らないわ」と業者に裏切られてしまった感をお持ちの方も多数おられます

修理工事がメインな私にとって、現場は大切な教科書です

半永久的な寿命の瓦ですが、施工地域、方法によってメンテナンス費用や時期が大きく変わってきます

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地震で最も注目を浴びてしまったのがこの”棟(むね)” と呼ばれる、瓦屋根の最後の仕上げ部分です

昔~むかしは粘土のみ

地中から掘り起こし、山砂や藁などを混ぜ練り込み寝かせた物が使われていました

私が小さかった頃は”土練り場”というのがあって、親父達が雨の日等に土練機で練り合わせているのを良く見ていました

実はこれが本当に丈夫で長持ちするのですが、大変手間のかかる仕事ですし、現場への運搬がとても大変!

袋詰めの便利な屋根土に移り変わりました

粘土のみでは、雨風で溶けてしまう(袋詰め品になってから溶けやすい気がします)のと表面を綺麗に化粧する為、セメントや漆喰を塗る様になりました

すると・・・地震や経年劣化で化粧部分が落下する現象が発生!

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ならば中身まで同一素材なら剥がれない!

という事で南蛮漆喰という物が使われ始めました

製品も「水をはじく」「シリコン入り」等高機能高耐久を謳ったものが続々登場してきました

セメントは寒さにも強く硬くなりますが、瓦に対して硬くなりすぎる一面があり、収縮時には瓦と一緒に割れてしまったり、地震で大きな塊となって落下した事例が発生しましたので、使い方には注意しなければいけません。接着力が強い為瓦の再利用も出来ません

そこで当りが柔らかく粘土よりは溶けにくい南蛮漆喰はちょうど都合が良いわけですが、使用環境によって凍害をおこします

粘土に比べ、水を吸いやすい点があり仇となってしまったのです

「水をはじく」→「水を吸わない」→「硬化後水分を含まないので凍害も起きない」

という魔法の様な素材をそのまま使用していたのですが、実は...吸ってしまっていたのです

結果、冷え込みの厳しい地域では凍害、凍み崩れがおき、屋根の上から砂が降ってくる状態になってしまいました

ダメと分かってまた使用するワケにもいきませんので、メーカーさんでも製品の凍害試験を行い、クリアした物を出荷する様になりました

又、寒冷地ではセメントを現場で配合する様に用量指示もされる様になりました

私としても、漆喰部分へ出来るだけ水が当たらない工法に改善、セメント以外にも強度を向上させる成分の現場での配合等今現在も、常に研究改善を繰り返しています

漆喰、セメントの類を全く使わない完全乾式工法も出てきていますが、費用対効果や実曝での耐久性が分かりませんので、まだお勧めしておりません

瓦自体は半永久的ですが、メンテナンスフリーになりきれない部分がココなのです!

今現在使用している漆喰は軽石が配合され、軽量化にも効果をもたらす優れもの!

“完璧”はありませんが、資材と工法で限りなく壊れにくい屋根を作っています

 

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優しいまちの瓦屋さん

(有)ホシ瓦屋 星 周道

 

瓦とバイクをこよなく愛する瓦屋さんです

 #瓦 #発信 #バイク #南蛮漆喰 #完璧は無い